◆国際ワークショップ『マルチエージェント・シミュレーションと社会科学の方法』の報告(2005年9月24-25日)

さる2005年9月24〜25日に、Lars-Erik Cederman教授(ETH)をはじめ、国内外から社会科学(政治学、経済学、社会学)分野で、マルチエージェント・シミュレーションという手法の適用を試みている研究者のみなさんにお集まりいただき、国際ワークショップを開催しました。お招きした先生は、中井豊教授(芝浦工業大学)、Juliette Rouchier先生(GREQAM, Marseille)、蟹江憲史助教授(東京工業大学)、瀬島誠助教授(大阪国際大学)[発表順]です。プロジェクトのメンバーからも、阪本拓人、井庭崇、鈴木一敏[発表順]が発表しました。

一日日には、50名を超える方に参加していただけました。使用言語が英語のみであった二日目も、30名近い皆様に参加していただき、熱気と集中力に満ちた楽しい時間をすごすことができました。充実した研究発表をしていただいた諸先生と会場に来てくださった参加者の皆様に感謝いたします。本当にありがとうございました。社会科学分野へのこの手法の適用について、刺激的で有意義な情報交換ができたと感じています。

ワークショップに先だって、KK-MASとPlat-Boxの概要を紹介するチュートリアルを開催しました。チュートリアルにも、予想を超える数の皆様に参加していただきました。ありがとうございました。

プログラムの内容、司会者の挨拶、研究発表の内容(ペーパー及び発表材料)、会場の写真などを公開します。

◆プロジェクトの活動報告

ワーキングペーパーやモデル以外の本プロジェクトの活動や業績をここで紹介します。
◆JAVA KK-MASのフィールドテスト参加者の募集をしています(2005年3月〜)

JAVA版KK-MAS試用版も完成し、現在、多くの方に参加して頂いて、フィールドテストを行っています。興味のある方は、是非ともご参加ください。 JAVA KK-MASについての詳細およびフィールドテストへの参加については、轄\造計画研究所のJAVA KK-MAS Communityをご覧ください。


発表者[敬称略・発表順] 所属 タイトル ペーパー 発表資料
プログラム プログラム 参加者数の一覧
司会者の挨拶(一日目、日本語)
阪本拓人 東京大学 国家の統合と分裂のシミュレーション
井庭崇 慶応大学 人工市場のシミュレーション
中井豊 芝浦工業大学 友の友は友が生み出す社会秩序
鈴木一敏 東京大学 貿易自由化交渉と秩序:絶対利得と相対利得
司会者の挨拶(二日目、英語)
Juliette Rouchier GREQAM What it takes to make a market in a multi-agent world: Markets and networks
蟹江憲史 東京工業大学 An Agent-based Modeling on Multilateral Climate Negotiation Process
瀬島誠 大阪国際大学 Simulation Analysis of Global Orders based on the Concept of Global Public Goods
Lars-Erik Cederman and Luc Girardin ETH Exploring geopolitics with agent-based modeling
画像
第一日目セッション 第二日目セッション
画像 チュートリアル
◆研究論文

阪本拓人「紛争と動員――マルチエージェント・シミュレーションを用いた内戦 モデル」,『国際政治』140,pp. 73-89,2005

山本和也「ネイションの複雑性――マルチエージェントモデリングによる理論分 析」,博士学位論文,東京大学大学院総合文化研究科, 2004

井庭 崇「複雑系と進化のモデル・フレームワーク」,西部忠編『進化経済学のフ ロンティア』(日本評論社),pp. 35-57,2004

井庭 崇「社会・経済シミュレーションの基盤構築――複雑系と進化の理論に向けて」,博士学位論文, 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科,2004

SHIMIZU, Takashi, “Note on Complete Proof of Axelrod’s Theorem,” Annualof Business Administrative Science, 2, pp. 39-46, 2003

井庭 崇「新しい思考の道具をつくる――オブジェクト指向による社会・経済のモ デル化とシミュレーション」,香川敏幸・小島朋之編『総合政策学の最先端 第IV巻――新世代研究者による挑戦』(慶應義塾大学出版会), pp.121-142,2003

井庭崇・中鉢欣秀・松澤芳昭・海保研・武藤佳恭「Boxed Economy FoundationModel――社会・経済のエージェントベースモデリングの ためのフレームワーク」,『数理モデル化と応用』44(SIG14[TOM9] ),pp.20-30 ,2003

山本和也「国際政治学のシミュレーション――歴史と展望」,『東洋文化研究所紀要』144,pp. 391-432,2003


◆学会報告など

阪本拓人・保城広至「政策決定過程シミュレーション:キューバ危機回避の分水嶺」国際政治学会年度大会、札幌、2005-11

山本和也・山影進「KK-MASの開発と研究」第34回国際公共財ワークショップ,京都,2005-11


光辻克馬「マルチエージェントシミュレーション:研究技法としての可能性」文理シナジー学会 平成17年シンポジウム、東京、2005-11

阪本拓人「国家の統合と分裂のシミュレーション」国際ワークショップ『マルチエージェント・シミュレーションと社会科学の方法』、東京、2005-9

井庭崇「人工市場のシミュレーション」国際ワークショップ『マルチエージェント・シミュレーションと社会科学の方法』、東京、2005-9

鈴木一敏「貿易自由化交渉と秩序:絶対利得と相対利得」国際ワークショップ『マルチエージェント・シミュレーションと社会科学の方法』、東京、2005-9


YAMAKAGE Susumu, "Polotical Science and Multi-Agent Simulation: Affinities, Examples and Possibilities" 4th International Workshop on Agent-based Approaches in Ecnomic and Scoial Complex Systems/ Annual Conference of Pacific-Asian Association for Agent-based Approach in Social Sciences, Tokyo Institute of Technology, Tokyo, 2005-7.

笠井賢紀・赤松正教・古川園智樹・井庭崇「社会ネットワークにおける感染症伝 染シミュレーション」,情報処理学会「ネットワーク  生態学2005シンポジウム」, 八王子,2005-3

保城広至・阪本拓人「リスキーシフトと政策決定――キューバ危機を事例として 」第5回KK-MASコンペティション,構造計画研究所, 東京,2005-3

HARADA, Shiro, “Governance of the Global Information Society: The Roles of Experts and Non-governmental Organizations, and their Limitations,” 46th Annual Convention of the International Studies Association, Honolulu, 2005-3

AOYAMA N., R. TAKEDA, T. IBA, H. OHIRA, “Simulation Development Tools with MDA”, International Workshop on Massively Multiagent  Systems, Kyoto, 2004-11

井庭 崇「新しい思考の道具をつくる――複雑系による社会のモデル化とシミュ レーション」, MPSシンポジウム「複雑系の科学とそ の応用」(招待講演),情報処理学会数理モデル化と問題解決研究会,名古屋, 2004-10

赤松正教・古川園智樹・笠井賢紀・青山希・井庭崇「成長するネットワークのシミュレーションとその拡張――世代交代モデルの提案」,  MPSシンポジウム「複雑系の科学とその応用」,情報処理学会数理モデル化と問題解決研究会,名古屋, 2004-10

古川園智樹・石元龍太郎・小林慶太・笠井賢紀・赤松正教・井庭崇「社会ネットワークの形成過程シミュレーション――マルチエー ジェント・モデルによる表現と拡張」,情報処理学会知能と複雑系研究会(SIG-ICS)& 人工知能学会知識ベースシステム研究会 (SIG-KBS)合同研究会,軽井沢,2004-9

TSUYA, R., N. SATO, T. IBA, Y. TAKEFUJI, “Analysis on the Factor of Price Volatility in Deregulated Electric Power Market”, 2nd. International Conference of the European Social Simulation Association, Valladolid , Spain, 2004-9


IBA, Takashi, “A Framework and Tools for Modeling and Simulating Societiesas Evolutionary Complex Systems”, 2nd. International Conference of theEuropean Social Simulation Association, Valladolid, Spain, 2004-9

鈴木一敏「貿易自由化交渉モデル――絶対利得と相対利得」、学習院大学経済経営研究所研究会,東京,2004-3

阪本拓人「シュガーモデルとその活用例」,学習院大学経済経営研究所研究会, 東京,2004-3


鈴木一敏「MASを用いたシェリングの『分居モデル』」,学習院大学経済経営研究所研究会,東京,2004-2

光辻克馬「マルチエージェント・シミュレータにおける文化の表現」(1)(2),学習院大学経済経営研究所研究会,東京,2004-2;2004-3

保城広至「山手線ゲーム」,学習院大学経済経営研究所研究会,東京,2004-2


山影進・光辻克馬「マルチエージェント・シミュレーション――その発想と技法 」学習院大学経済経営研究所研究会,東京,2003-12

山本和也「KK-MASのこれまでと今後」,第29回国際公共財ワークショップ,京都 ,2003-11

岡部明子・井庭崇「社会・経済シミュレーションのモデル・パターン――複雑系 における動的な変化を記述する」,第2回情報科学技術  フォーラム(FIT2003),札幌, 2003-9

MITSUTSUJI, Katsuma, “The Artificial Political Society: modeling an assembly in Silico” 34th Annual Conference of International Simulation and Gaming Association, Kisarazu, 2003-8.

SUZUKI, Kazutoshi, “Recognition of Interest and International Trade Negotiation”, 34th Annual Conference of International Simulation and Gaming Association, Kisarazu, 2003-8.


artisoc チュートリアル(2006年3月12日)

2006年3月12日に artisoc(旧JAVA KK-MAS)のチュートリアルを開催しました。会場として(株)構造計画研究所 新館地下レクチャールーム[中野(東京)]を使用させて頂きました。予想を超えるたくさんの皆様に参加していただきました。本当にありがとうございました。

4時間で
artisocの基本的な使い方をマスターしていただくというのが目的でした。内容盛りだくさんなチュートリアルで、参加者のかたはたいへんだったと思います。それでも最後まで楽しんでいただけたようで、反省しつつ感謝しております。参加者のみなさまからアンケートにて有益なコメントを頂きました。今後の活動の参考にさせていただきます。あらためて、ありがとうございました。

チュートリアルで使用した教材をここで公開します。是非ご利用ください。
2006年03月チュートリアル教材 <==== 5時間で学べる
artisoc

2006年05月05日に内容が更新されています。できれば最新のものをご利用ください。
<予定>シンポジウム「人工社会の可能性」(2007年12月1日)
東京大学五月祭公開講座「コンピュータのなかの国際社会」(2007年5月27日)
日本国際政治学会2006年度研究大会で報告(2006年10月13日)
社会シミュレーション世界会議でチュートリアル(2006年8月)
artisoc チュートリアル(2007年3月)

シンポジウム「人工社会の可能性」(2007年12月1日)

2007年12月1日に開催されたシンポジウム『人工社会の可能性−マルチエージェント・シミュレーションと社会科学』についてはここを見てください。報告内容などダウンロードできます。