日本ASEAN関係基本資料データベース
東京大学総合文化研究科国際社会科学専攻 山影進研究室
第2回 日中韓アセアン経済大臣会合
2000年10月7日
チェンマイ、タイ
共同声明(仮訳)
アセアン経済大臣と中国、日本、韓国の大臣による第2回経済大臣会合は、2000年10月7日にタイ・チェンマイにて開催された。
99年11月にフィリピンのマニラで開催されたアセアンと中国、日本、韓国の首脳会合において、首脳が、東アジア協力に関する共同声明の実施を通じてアセアンと北東アジア3ケ国との協力を更に強化すべきとの指示を行ったことを閣僚は想起した。
協力の優先分野
閣僚は、2000年11月24日にシンガポールで開催されるアセアンと中国、日本、韓国の第2回首脳会合における主要テーマとなり得るものとして、アセアンと北東アジア3ヶ国が協力を行う次の優先分野を確定した。
(i) 貿易・投資・技術移転の加速化のための努力の強化
(ii) 情報技術・電子商取引に関する技術協力の促進
(iii) 中小企業・裾野産業の強化
閣僚は、協力の優先分野を実施するためのプロジェクト提案を決定するため、次の基準について検討し、これを承認した。
(i)プロジェクトは、AEM+3協力の枠組みの下で、その性質上、地域にわたるものであり、すべてのメンバーの利益となるものであること。
(ii) プロジェクトは、できるだけ多くのメンバーの参加を得るものであること(13−Xの原則)。しかしながら、少なくともアセアン・メンバーの2ヶ国及び中国、日本、韓国のうちの2ヶ国が参加するものであること。
(iii) プロジェクトは、コスト分担の下に行うものであること。しかしながら、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナムのアセアン新規加盟国へは柔軟性が与えられるものであること。
(iv.) プロジェクト提案は、高級事務レベルによって承認されるべきであること。
閣僚は、高級事務レベルに対し、確定された協力の優先分野において、上記の基準に基づいてプロジェクト提案を行い、次回のアセアンと日本、中国、韓国の経済大臣会合に、その実施についての進捗を報告するよう指示した。
閣僚は、アセアンと北東アジア3ヶ国の間の貿易が1999年に1313億米ドルに上る巨額なものになっていることに留意した。閣僚は、プロジェクトの実施は、東アジア域内の貿易投資を更に促進し、地域の製造業の供給ネットワークを強化し、ニューエコノミーの時代における地域の将来見通しを向上させるものであることに合意した。
閣僚は、AEM+3及びSEOM+3のプロセスを制度化することに合意した。閣僚は、また、2001年5月にカンボジアのシェム・リアップでAEMリトリートに合わせて次回会合を開催することに合意した。
国際経済・地域経済の課題
閣僚は、世界貿易機関(WTO)、アジア太平洋経済協力(APEC)、アジア欧州会合(ASEM)等の国際経済・地域経済の課題について意見交換を行った。
WTO
閣僚は、カンボジア、中国、ラオス、ヴェトナムのWTO加盟プロセスの加速化を支持した。閣僚は、ルールに基づく多角的貿易体制の重要性を強調し、WTO新ラウンド交渉で開発途上国の利益が考慮されるようなバランスのとれたアジェンダの必要性について合意した。閣僚は、また、、可能な限り早期の新ラウンドの立ち上げの重要性について表明した。閣僚は、新ラウンドのアジェンダが、すべてのWTO加盟国の興味と関心のバランスを反映するような、十分に広範なものとなるべきと繰り返し述べた。閣僚は、農業・サービスに加え鉱工業品のマーケットアクセスを改善し、アンチダンピング協定等のルールと規律の改善・整備を図ることの必要性を強調した。閣僚は、WTOが21世紀のグローバル経済のニーズに対応すべきことについて合意した。こうした観点から、閣僚は、また、電子商取引に対するWTOルールの適用可能性について検討することが必要との見方を共有した。閣僚は、開発途上国のWTO協定履行のためのキャパシティ・ビルディングの強化の必要性について合意した。
APEC
閣僚は、ブルネイのAPECにおける議長ぶりを賞賛し、APEC2000年のテーマ「社会への成果の還元」の実現に向けて強力に支持することを表明した。閣僚は、キャパシティ・ビルディングに関するAPEC活動を促進する必要性を認識し、人材育成に関するブルネイの提案、特に情報通信技術へのアクセスの改善においてすべての関係者を結集して関係強化を図ろうとする提案に対する全面的な支持を表明した。閣僚は、2000年11月15日、16日に開催されるAPEC非公式首脳会合に向けたブルネイの準備状況を歓迎した。閣僚は、WTO協定の履行のためのキャパシティ・ビルディングの強化の構想の進捗状況について歓迎した。
ASEM
閣僚は、2000年10月20、21日に韓国のソウルで開催される第3回ASEM首脳会合に向けた韓国の準備状況に留意し、感謝の意を示した。閣僚は、第3回ASEM首脳会合の重要性を強調し、首脳会合プロセスにおいて積極的な役割を果たすことで合意した。閣僚は、また、「新世紀における繁栄と安定のためのアジアと欧州のパートナーシップ」を求めるテーマの実現に向けて強力に支持することを表明した。
石油価格
閣僚は、原油価格の変動が世界経済の回復と、原油市場の動向に非常に依存する開発途上国の経済に及ぼすリスクと、持続可能な水準に原油価格を安定させる必要性につき留意した。閣僚は、世界需要が今後拡大することを踏まえた上で、適切な供給の拡大、その他、消費者と供給者の相互の利益の下での長期的な価格の安定を促進するための必要な対策を求めた。
アセアンと中国、日本、韓国の第2回首脳会合への準備
閣僚は、2000年11月24日に開催されるアセアンと中国、日本、韓国の第2回首脳会合に向けたシンガポールの準備状況につき報告を受けた。
出席閣僚
会議への出席閣僚は、以下のとおり。
スパチャイ タイ 副首相兼商務大臣
ラーマン ブルネイ 産業・一次資源大臣
チャン・プラシット カンボディア 商業大臣
周可仁 中国 対外経済貿易合作部副部長
ルフト インドネシア 商工大臣
平沼赳夫 日本 通商産業大臣
ハン・ドクス 韓国 通商交渉本部長
スリウォン ラオス 工業・手工業大臣
ラフィダ マレイシア 通商産業大臣
エーベル ミャンマー 国家平和発展評議会議長府付大臣
ロハス フィリピン 貿易産業長官
ジョージ・ヨー シンガポール 通商産業大臣
コアン ヴィエトナム 商業大臣
セヴェリーノ アセアン事務局 事務局長