日本ASEAN関係基本資料データベース
東京大学総合文化研究科国際社会科学専攻 山影進研究室
第4回日中韓アセアン経済大臣会合(AEM+3)
2001年9月12日
ベトナム ハノイ
共同声明(仮訳)
アセアン経済閣僚と日中韓の閣僚は、9月12日、ベトナム・ハノイにて第4回会合を開催した。会合ではベトナムのヴー・コアン商業大臣、中国の孫振宇対外貿易経済合作部副部長、日本の平沼赳夫経済産業大臣、韓国のファン・ドゥヨン通商交渉本部長が共同議長を務めた。
閣僚は、世界経済の状況及びアセアンや北東アジアにおける最近の状況について意見を交換した。閣僚は、1999年1,582億ドルから2000年2,017億ドルへと27.5%増加したアセアンと日中韓の間での貿易量の継続的増加に留意した。また、閣僚は、2000年のプラスの経済成長と楽観的な見方にも関わらず、アメリカ、EU、日本の景気の減速という観点から、この傾向は続かないだろうというコンセンサスが拡大しつつあることに留意した。この点に関し、閣僚は、貿易と投資を誘引し、経済成長を強めるために対外指向の政策を維持することを約束したことを強調した。閣僚は、さらに、貿易と投資の流れを促進する手段として、地域経済統合の継続の重要性を強調した。
経済協力プロジェクト
閣僚は、2001年5月4日にカンボジア・シェムリアップで開催された第3回AEM+3会合で了承された6つの経済協力プロジェクトの実施状況に留意した。
(a)アセアン中小企業競争力強化
グローバリゼーションの挑戦と機会に対処するため、本プロジェクトにより、中小企業は、そのネットワークを構築し、更なる生産性向上のための技術・経営スキルに関する経験を習得することが可能になる。
(b)環境保全のための実用技術研修プログラム
本プロジェクトは、環境保全、特に水質汚染処理に関する実務研修を提供する。
(c)アジアITスキル標準化イニシアティブ
IT技術者共通のスキル標準を採用することにより、各国はIT人材不足に対処しやすくなる。本プロジェクトにより、各国は、このような標準の設定、特に情報処理技術者試験の開発に関する情報のシェアが可能になる。
(d)工業標準分野における適合性評価開発プログラム
本プロジェクトは、各国の製品やサービスが国際規格に適合することを確実にするために、各国の適合性評価システム、特に試験、検査、品質・環境管理の分野における能力の向上を図る。かかる能力は、アセアン及び北東アジア諸国における国際相互認証制度への参加拡大を促す。
(e)メコン河流域におけるソフト開発
人材育成は、メコン河流域諸国の発展の助となる外国直接投資や貿易を誘因し続ける上で重要である。本プロジェクトは、メコン河流域における人材の更なる強化のために、国際貿易・投資関連の法と実務に関するコースや英語語学研修を提供する。
(f)アセアン衛星画像アーカイブ及び環境調査
本地域が直面している重要なチャレンジの一つは、山林伐採、水質、洪水、乾期の長期化や公衆衛生のように、急速な近代化と工業化が環境に与えるインパクトである。本プロジェクトにより、各国は、これらの環境問題を研究、管理、解決するための、リモート・センシングや衛星画像アーカイブにおける既存の資源をシェアすることが可能になる。
閣僚は、最近のe−ラーニングの動向や技術に関する情報の共有、e−ラーニング・システムの相互運用性のに関するコンセンサスの醸成、アジアにおけるe−ラーニングの効果的利用を含む「アジア・e−ラーニング・イニシアティブ」プロジェクトを検討し、承認した。
閣僚は、経済高級事務レベル会合に対し、承認されたプロジェクトの実施をさらに促進することを求めた。
e−アセアン・イニシアティブ
閣僚は、前回の会合において、アセアンと北東アジアの間の情報通信技術(ICT)協力のフォーラムとしての役割を果たすe・アセアン+3ワーキング・グループを設立することを決定したことを想起した。閣僚は、e・アセアン枠組み協定の実行を加速化させるイニシアティブを含め、2001年7月5日にカンボジア・シェムリアップで開催された第1回e・アセアン+3ワーキング・グループ会議の成功裏の結果を歓迎した。
国際経済問題
閣僚は、WTO、APEC、ASEMを含む国際的・地域的経済問題について意見を交換した。
WTO
閣僚は、WTO新ラウンドの立ち上げを支持した。閣僚は、ルールに基づく多角的貿易体制の強化を改めて約束するとともに、ドーハのWTO閣僚会議での新ラウンドに向けて、アンチダンピング、市場アクセス、特別かつ差別的な処置に効果を与えることを含め、バランスのとれた広範囲なアジェンダを策定し、新ラウンドを開始することへの強い決意を表明した。閣僚は、途上国の関心事項が真剣に考慮されなければならないことに同意し、履行を支援するするためのキャパシティビルディング強化の必要性を強調した。閣僚は、TRIMS延長パッケージを含むジュネーブでの実施問題に関する最近の進展を歓迎するとともに、これらの問題へのさらなる取組みに同意した。
閣僚は、WTO協定履行のためのキャパシティ・ビルディングのさらなる強化の重要性を繰り返すとともに、WTOキャパシティ・ビルディングのための戦略的APECプランの実現に向けた進展を評価した。閣僚は、カンボジア、ラオス及びベトナムのWTOへの早期加盟への支持を表明した。閣僚は中国のWTO加盟に関する進展に留意するとともに、ドーハ閣僚会合におけるWTOメンバーとして中国が正式に参加することへの期待を表明した。
APEC
閣僚は、2001年10月20、21日に中国・上海で行われる次回のAPEC経済閣僚会議(AELM)のために中国により行われている準備を歓迎した。また、閣僚は、2001年5月15、16日に中国の北京で行われたヒューマン・キャパシティ・ビルディングに関するAPECハイレベル会合の結果を歓迎した。
ASEM
閣僚は、2001年9月10、11日にハノイで開催された第3回ASEM経済閣僚会合におけるベトナムの議長としての努力に、感謝をもって留意した。閣僚は、ASEMの重要性を強調するとともに、「新たなる千年紀における繁栄と安定に向けたアジア−ヨーロッパ間のパートナーシップ」というテーマの実現への強い支持を表明した。
ASEAN+3、ASEAN+1サミットに向けた準備
閣僚は、2001年11月5、6日にブルネイのバンダル・スリ・ブガワンで開催されるアセアン+3、アセアン+1サミットに対するブルネイの準備に満足した。
出席閣僚
会議への出席閣僚は、以下のとおり。
i) ヴー・コアン商業大臣(ヴェトナム)
ii) ラーマン産業・一次資源大臣(ブルネイ)
iii) チャン・プラシット商業大臣(カンボジア)
iv) 孫振宇対外貿易経済合作部副部長(中国)
v) リニ・スワンディ商工大臣(インドネシア)
vi) 平沼経済産業大臣(日本)
vii) ファン通商交渉本部長(韓国)
viii) スリウォン工業・手工業大臣(ラオス)
ix) ラフィダ通商産業大臣(マレイシア)
x) エーベル国家平和発展評議会議(SPDC)議長府付大臣(ミャンマー)
xi) トマス・アキノ貿易産業省次官(フィリピン)
xii) ジョージ・ヨー通商産業大臣(シンガポール)
xiii) アディサイ商務大臣(タイ)
xiv) セヴェリーノ事務局長(ASEAN事務局)