日本ASEAN関係基本資料データベース

東京大学総合文化研究科国際社会科学専攻 山影進研究室

 

 

ASEAN設立宣言(仮訳)

(第1回ASEAN外相会議 1967年8月8日 バンコク)

 

 

 インドネシア政務大臣兼外務大臣、マレーシア副総理大臣、フィリピン外務長官、シンガポール外務大臣及びタイ外務大臣は、

東南アジア諸国間に相互利益と共通の問題が存在することに留意し、現存の地域的団結と協力を更に強化する必要を確信し、

平等と連帯の精神によって東南アジアにおける地域的協力を促進する共同行動のための確固とした基礎をうち立て、もって域内の平和、進歩及び発展に寄与することを希求し、

相互依存の高まりつつある世界において、平和、自由、社会正義及び経済的安寧の育まれるべき理想は、歴史的・文化的に結合した域内諸国間の良き相互理解、善隣関係及び有意義な協力の促進によって最もよく達成されることを自覚しつつ、

東南アジア諸国は、域内の経済的・社会的安定の強化と諸国の平和的・進歩的発展に主要な責任を有し、いかなる形、あるいは言明であれ、外部からの干渉に対しては、諸国民の理想と希望とに従い、国民的一致を守るため、その安定と安全とを確保すべく決心していることを考慮し、

すべて外国の基地は、暫定的なものであり、関係国の同意表明によってのみ維持され、域内諸国の国家的独立と自由とを直接又は間接に破壊し、あるいは諸国の秩序ある発展を阻害する目的で使用されるべきではないことを確認し、

ここに宣言する。

第1 東南アジア諸国間の地域的協力機構として、東南アジア諸国連合(ASEAN)を設置する。

第2 同連合の目的は、次のとおりである。

l 東南アジア諸国の平和と繁栄の基礎を強化するため、平等と連帯の精神のもとに進める共同作業を通じて、地域の経済成長、社会的進歩、文化的発展を推進する。

2 域内諸国の関係における正義と法の支配を尊重し、国連憲章の諸原則を支持し、もって域内の平和と安定を促進する。

3 経済・社会・文化・技術・科学及び行政の各分野において利害の共通する諸問題について相互援助、相互協力を積極的に推進する。

4 教育、専門職、技術及び行政の各分野における訓練研究施設の面で協力を促進する。

5 農業、工業の一層の活用、国際商品貿易の研究を含む貿易の拡大、運輸通信施設の整備、国民の生活水準向上のため、より効果的な協力を進める。

6 東南アジア研究を促進する。

7 同様の目的を有する既存の国際機構及び地域的機構と緊密かつ有益な協力関係を保持し、これら機構間の一層緊密な協力のための方策を探求する。

第3 これらの目的を遂行するため、以下の諸機関を置く。

a 年次外務大臣会議:輪番制により、ASEAN閣僚会議と称する。必要の際は、特別外相会議を召集することができる。

b 常務委員会:主催国の外務大臣ないしその代理の主持により、他の加盟国大使を委員として、次期外務大臣会議までの期間、本連合の業務を遂行する。

c 特定の主題に関する専門家及び官吏の臨時委員会及び常設委員会。

d 国内事務局:加盟各国において当該国を代表して本連合の業務を遂行し、年次外務大臣会議又は特別外務大臣会議、常務委員会、その他今後設置されるであろう諸委員会に奉仕する。

第4 本連合は前記の諸目的及び原則に同意するすべての東南アジア諸国に門戸を開放する。

第5 本連合は友好と協力のため連合しようとする東南アジア諸国の集団的意志を代表し、共同の努力と犠牲とによって、国民と子孫とに、平和、自由、繁栄を保証しようとするものである。

1967年8月8日バンコクにて