日本ASEAN関係基本資料データベース
東京大学総合文化研究科国際社会科学専攻 山影進研究室
ASEAN首脳会議シンガポール宣言(骨子)
平成4年1月28日
1.政治及び安全保障上の協力
(1)ASEANは、全ての東南アジア諸国による東南アジア友好協力条約への加入を歓迎する。
(2)ASEANは、然るべき決議等の方法による国連による東南アジア友好協力条約の認知(cognizance)を求める。
(3)ASEANは、ASEAN拡大外相会議の場を利用し、政治上及び安全保障上の事項に関する外部との対話を強化すべきである。
(4)ASEANは、東南アジア平和自由中立地帯構想(Zone of Peace、Freedom and Neutrality in Southeast Asia:ZOPFAN)及び東南アジア非核地帯の実現を目指す。
(5)ASEANは、カンボディア和平合意の完全な実施を確保するために国連及び国際社会と緊密に協力する。
(6)国連安保理サミットは、より衡平な国際政治経済秩序の確立と、国連の意思決定過程の民主化のための国連自身の役割を明確化することを支援すべきである。
(7)ASEANは、国連の平和維持等に関する役割と能力に関するものを含め、国連憲章に従い国連を強化するためのあらゆる努力を勧奨する。
2.経済協力
(1)ASEANは、ASEAN経済協力枠組協定中の新しくかつ適切な経済的な措置を採用する。
(2)ASEANは共通友好特恵関税制度を主要なメカニズムとして、1993年1月1日から始まる15年間で最終的な友好関税が0%から5%のASEAN自由貿易地域を創設する。
(3)ASEANは、域外国との協力及び地域的/多国間経済機構との協力並びにアジア・太平洋経済協力(APEC)及びEAECとの協力の開始ないし強化の必要性を認識する。ASEANは、EAECにつき、必要性の発生に応じ(as andwhen
the need arises)、東アジア諸国の経済間の共通の関心事項に係る協議を行うことは、地域の経済間の協力の拡大及び自由かつ開かれた世界貿易体制の推進に貢献しうることを認識する。
(4)ASEANはGATTの諸原則を引き続き遵守し、多角的かつ開かれた貿易体制の維持・強化に向け作業する。
3.ASEANの対外関係
ASEANは対話国、就中主要な経済関係国との関係を拡大するために、既存の対話の機構を強化し、また、必要に応じ新しい機構を開発するべきである。
4.機能的協力(l)ASEANは、域内の主要大学・研究機関の間のネットワークを強化して人的資源開発を促進し、究極的にはASEAN大学の設立を目指す。
(2)ASEAN及び構成国は、環境保護、麻薬対策、AIDS対策等につき協力を強化する。
5.ASEAN諸機構の再編
ASEAN構成国は、ASEANの組織構造、就中事務局につき、予算を拡大し、強化と効率化を図る。