日本ASEAN関係基本資料データベース

東京大学総合文化研究科国際社会科学専攻 山影進研究室

 

 

平成161130

国際テロリズムとの闘いにおける協力に関する日ASEAN共同宣言

(仮訳)

 

 

東南アジア諸国連合(アセアン)加盟国である、ブルネイ・ダルサラーム国、カンボジア王国、インドネシア共和国、ラオス人民民主共和国、マレーシア、ミャンマー連邦、フィリピン共和国、シンガポール共和国、タイ王国、及びベトナム社会主義共和国の政府、並びに日本国政府(以下参加国とする)は、

 

テロリズムとの闘いにおける二国間、地域間及び国際社会のレベルにおける協力を包括的に強化することを約束し、この点につき、国際社会のレベルで国際連合が主要な役割を果たすべきことを特に確認した2001年アセアン・テロリズム対策共同行動宣言に留意し、

 

国際連合憲章、国際法、及び国際テロリズムに関する全ての関連国際連合決議若しくは宣言に従って、全ての形態の国際テロリズムを予防、抑制、根絶する決意を再確認し、テロリズムとの闘いにおいて、国際連合が主要な役割を果たすべきことを再確認し、

 

あらゆる形態及び主張によるテロリズムのあらゆる行為、方法、及び実行を、行われた場所及び行った者の如何を問わず、犯罪として、かつ正当化することができないものとして無条件に非難することを再確認し、

 

テロリズムの脅威は国際社会の安全に対する懸念であることを認識し、地域の平和、安全、安定及び繁栄に対するテロリストによる脅威に対処することを決意し、

 

テロリズムを、如何なる宗教、人種、国籍と関連付けようとする如何なる試みも拒否し、

 

日本とアセアン諸国が、テロリズムとの闘いにおける協力の精神とテロ対策協力の重要性に関する認識を共有していることを再確認した、20031212日に東京において署名された「新千年期における躍動的で永続的な日本とASEANのパートナーシップのための東京宣言」を想起し、

 

テロリズムをうまく除去するためには、潜在的原因への対処を含む包括的アプローチが必要であるとの認識を共有し、

 

テロリズムとの闘いにおけるアセアン加盟国による著しい成果を確認し、テロリストによる攻撃の再発防止のためアセアン加盟国が強化されたテロ対策措置を講じていることを歓迎し、

 

主権平等、領土保全、及び他国による内政不干渉の諸原則を認識し、

 

治安、情報、法執行分野におけるアセアン加盟国と日本の間の強固な協力に励まされ、テロリズムとの闘いにおけるアセアンの先導的な組織であるアセアン国境を越える犯罪閣僚会議(AMMTC)、及び他のメカニズムをつうじて国際テロリズムとの闘いにも拡大することを希望して、

 

次のとおり厳粛に宣言する。

 

目的

 

1.アセアン及び日本国は、情報交換、インテリジェンスの共有、キャパシティ・ビルディングをつうじて国際テロリズムを予防し、壊滅させ、闘うための協力の枠組みを有することの重要性を再確認する。

 

2.参加国は、本協力の目的がテロリズムとの闘いにおける努力の有効性を向上させることにあることを強調する。

 

協力の範囲及び分野

 

3.参加国は、以下の活動のいずれか又は全てにおいて、各国の国内法及び特定の状況に応じ、本宣言で示されている原則を実施すること及び既存の適切な会合においてレビューを行うことを強く約束した。

テロリストを裁きにかけるための引渡及び刑事事案における共助をつうじたものを含め、テロリスト及びテロ組織の活動に関する情報交換及び法執行機関間の協力を強化する。

 

 

全てのテロリズム防止関連条約の早期締結及び実施、並びに、国際連合安全保障理事会決議第1267号、第1269号、第1373号、第1390号、第1455号、第1456号、第1540号を含む国際テロリズムに関する全ての関連国連決議の完全な遵守を国連憲章第25条に則って確保する。

 

 

テロリスト及びテロ組織への資金供与、並びに違法送金など代替送金手段の使用に対する対策及び予防のために必要な措置を強化する。

 

 

テロリストが活動を隠蔽するために慈善組織及び集団を利用しないように適切な措置を実施する。

 

 

テロリストの移動を防止するために出入国管理を強化し、国境及び出入国管理に対する挑戦に対処するための支援を行う。

 

 

アセアン地域フォーラム(ARF)、アセアン+3ASEAN3)及び日アセアン交通大臣会合の枠組みにおいて、航空保安、海上安全保障、コンテナ保安を含む交通保安を強化するための協力を発展させる。

 

 

訓練及び教育、職員、分析担当者、及び現場の要員間の協議、専門家の派遣、セミナー及び会議、並びに共同プロジェクトをつうじキャパシティ・ビルディングを適宜強化する。

 

 

マレーシアの東南アジア地域テロ対策センターとの間での協力プロジェクトを引き続き発展させ、タイの国際法執行アカデミー、インドネシアのジャカルタ法執行センターとの協力を検討する。

 

 

国際場裡においてテロリズムとの闘いにおける多国間の協力を発展させる。

 

 

以上に示された分野において詳細な協力措置を作成する。

 

 

貧困、経済社会格差及び不公正の削減、並びに特に発展途上地域における発展途上の集団及び人々の生活水準向上の促進を目的とした開発プロジェクトを引き続き支持する。

参加:

 

4.アセアン各国は、12本の国連テロ防止関連条約の締約国となることを喫緊の課題として要請される。

 

5.各参加国は、法執行機関、テロ資金対策を担当する当局、その他の政府関係機関を調整し、本宣言の実施のため国内をとりまとめる担当部局を指定することを要請される。

 

情報の開示:

 

6.参加国は、本宣言に関連して受領した秘密の情報、文書、データが、当該情報を提供した参加国の書面による同意がある場合を除き、如何なる場合においても第三者に開示、若しくは提供されないことを期待する。

 

実施:

 

7.全ての参加国は、本宣言の規定を全ての面において、誠実かつ効果的に促進し実施することを要請される。

 

20041130日、ラオス人民民主共和国ビエンチャンにおいて、ASEAN加盟国及び日本国政府の首脳間で採択された。