学外での活動の一環です。刊行までの経緯については、「はしがき」に書いてありますが、いわゆる研究会の成果です。ところで、この「研究会」というのが曲者で、共通のテーマはもちろんあるのですが、それについて一緒に何かを研究するというよりは、各参加者が既に研究したことを多少とも加工して発表し合うというのが普通です。研究会というものに参加し始めた頃は、いったいどこが研究なのだろうと、しばらく面食らう場面が続きました。(ありていに言ってしまえば、研究費をもらえるわけではなく、出席することに対して謝金が支払われるのです。)もっとも最近では、研究者以外の人たちの話を聴く機会や自分の知らないことを知る機会になると考え、素直に研究会なるものを捉えられるようになりました。
さて、本書では、「いま」を扱い、政策指向を含めました。もっとも私自身の担当は1990年代における日本の対ASEAN政策の変化を分析的に追っただけのもので、ガラでもない政策提言はいつものように「流して」します。東アジア地域主義が日本社会であまり注目されない(つまり、大東亜共栄圏と結びつけて反対する人たちやアジアの盟主になるぞと鼻息を荒くする人たちが少ない)理由も検討したかったのですが、本書では、淡々と、書名になっているテーマを多角的に描くことに焦点を絞りました。
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