伊藤岳・山影進、2016年、「社会科学における実証的シミュレーション:シェリングの分居モデルの拡張と空間データとの接合例」(青山国際政経論集 96 号、2016 年 5 月)
概要:
近年,社会科学においてエージェントベース・モデリング(agent-based modeling: ABM)と呼ばれるシミュレーション技法の応用が進んでいる。特に目を引く動向として,モデルの結果・状況設定について,理論的なシミュレーショ ンと経験的なデータの接合を試みる実証志向の研究の進展が著しい(伊藤, 2013; Ito and Yamakage, 2015a)。こうした方法の発展は,これまで取り組めなかった新たな問いに回答する手段を提供する一方で,新たな技術的障壁が生じることも意味する。本稿では,著者らが他所で提示したモデルを前提に,こうした技術的障壁を緩和するソフトウェアと米国の都市の空間データを用いつつ, Schelling(1969, 1971, 1978)による古典的な ABMの分居モデル(segregation model)を事例に,現実との明示的な接合を志向するシミュレーション・モデルの具体例を提示する。
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