科学研究費基盤研究 2008-2011
マルチエージェントモデルによる
国際政治秩序変動の研究

基盤研究プロジェクト『マルチエージェントモデルによる国際政治秩序変動の研究』は、2008年4月より始動しました。学術創成プロジェクト2003-2008『マルチエージェント・シミュレーションを用いた社会秩序変動の研究』の成果をふまえ、この技法をトコトン活かして国際政治についての知見を深めていこうと思います。お知らせや成果はこのホームページで随時公表する予定です。

マルチエージェントモデル

マルチエージェントモデルとは、コンピュータのなかの多数の主体(エージェント)に一定の行動ルールを与え、その相互作用によって系(システム)をふるまわせるというボトムアップ式のモデル構築方法です。これら主体を、「人間」「組織」「共同体」「企業」「民族」「国家」などなどに見立てることにより、さまざまな社会現象のモデリングに活用が期待されている新たな方法論です。とくに無政府性(アナーキー)を特徴とする国際政治の分析には最適な特性をもっています。


artisoc

コンピュータの計算能力の向上とともに、この技法による社会現象分析はますます有望な研究分野となっています。しかし、コンピュータ言語によるプログラミングという障壁が、一般の社会科学研究者にとって難関となっています。しかし、この技法の潜在的な力を引き出し、この技法の成果をアナロジーやイメージを作り出すだけにとどめないために(それはそれで面白いのですが)は、社会現象の諸事例について豊富な知識をもつ社会科学者自身によってモデルが構築されなければならないと思います。気楽にモデルを作り、走らせ、その結果を見てみる。そんな環境を得るために開発されたのが汎用シミュレータartisocです。この実行から出力までの手軽さと汎用性の広さについては自信をもってお勧めできます。詳細な情報は構造計画研究所  MASコミュニティ もご覧ください。


『人工社会構築指南』とModeling and Expanding Artificial Society

この技法に興味をもたれた方は、ぜひ『人工社会構築指南』(早山書房)を入手してみてください。artisocに即するかたちでマルチエージェントモデルの作り方がわかりやすく解説してあります。基本的な機能はすべて備えたソフトウェアも添付されていますので、かなりお得だと思います。多くの大学で講義に用いられていますし、独学も十分可能な作りになっています。英語版も今月中に出版予定です<目次><序文>。





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そのほかの活動や業績
学術創成プロジェクト2003-2008
2010.03 新しいワーキングペーパーが4つ加わりました。
2010.12 ワークショップ「人工国際社会を作る(仮)」を開催しました。ご来場ありがとうございました。
2010.11 今年も駒場祭で研究展示をしました。
2010.10 ワーキングペーパーが1つ加わりました。
2010.04 ワーキングペーパーが2つ加わりました。






マルチエージェントシミュレーション技法を用いた社会科学の書籍シリーズ「人工社会の可能性」の第4巻が出版されました。阪本拓人『領域統治の統合と分裂:北東アフリカ諸国を事例とするマルチエージェント・シミュレーション分析』です
詳細は↓↓



ワークショップ「人工国際社会を作る」を開催しました。
日時: 2010年12月18日(土)13時-17時
場所: 東京大学教養学部ファカルティハウス内セミナー室

司会者および討論者
 秋山英三(筑波大学)
 石田淳(東京大学)
 中井豊(芝浦工業大学)
 山本吉宣(青山学院大学)

報告者および主題(報告ペーパーダウンロードできます)
 保城広至(東京大学) 地域主義の創発:国内制度と地域経済協力のシミュ レーション
 伊藤岳(東京大学)  マクロレベルにおける戦争の動態:「多様性の中の法則性」と「法則性のなかの多様性」
 鈴木一敏(広島大学) 動的環境における相対利得の合理性の検証
 阪本拓人(東京大学) 持続的平和のためのマルチエージェント・シミュレーション:南部スーダン住民投票を前にして
 湯川拓(東京大学)  マルチエージェント・シミュレーションによる政策拡散の研究
 光辻克馬(東京大学) 帝国システムの消長と主権国家システムの生成(12月20日更新)